2 resultados para Duchatel, Cte
em Academic Research Repository at Institute of Developing Economies
Resumo:
本稿は、アフリカ開発にとって不可避の課題として認識されている紛争解決と平和構築の問題に関して、とくに国連や欧米諸国などのアフリカ域外の主体によって行われてきた軍事的取り組みの歴史と現状を考察しようとするものである。紛争解決・平和構築を目的として域外主体によって行われてきた軍事的取り組みは、1990年代のソマリアとルワンダでの経験を踏まえて試行錯誤が積み重ねられてきた。これを経て近年では、域外主体がアフリカ諸国の平和構築能力の強化を支援しつつ、国連PKOに代表される域外の軍事要員がアフリカ側と連携する体制が確立されてきている。本稿ではこのような歴史を整理したのち、アフリカの紛争解決・平和構築に深く関わる新しい考え方として注目されている「保護する責任」をめぐる問題を論ずる。具体的には、「保護する責任」に依拠して2011年4月にコートジボワールで行われた国連PKOによる軍事行動を取り上げ、「保護する責任」をめぐり提起されてきた諸論点が、この現実の軍事行動においてどのように現れていたかを検討したい。
Resumo:
本稿は1990年代以降続いてきたコートジボワールの不安定な状態が、2011年5月に正式発足したワタラ政権のもとで解消されたかどうかを検討する。着眼点はワタラ政権期の武装勢力の動向と、ワタラ政権の軍事的基盤をなすコートジボワール共和国軍(FRCI)とワタラの関係である。武装勢力の動向については、ワタラ政権の正式発足の時点で内戦期の軍事的対立の構図が基本的には解消され、その後もFRCI優位の軍事状況が継続していることがわかる。ワタラとFRCIの関係については、FRCI幹部の重要ポストへの登用が続いており、堅固な同盟関係が維持されていることが確認できる。しかし同時に、事態を不安定化に向かわせうる要因が今なお存在することも指摘できる。このためコートジボワールは一時期の不安定な状況をたしかに脱してはいるものの、安定化が十分に確立・制度化されるうえでは、軍の改革をはじめとする課題が解消される必要がある。