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em Academic Research Repository at Institute of Developing Economies


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本稿では,インターネットの利用を中心に機能を絞った安価で小型のパーソナル・コンピュータ「ネットブック」の事例に即して,後発工業国企業が開発した新製品が,先進国のコア部品ベンダーの製品戦略を攪乱し,ブランド企業を巻き込みながら,一定の市場を獲得するに至った過程を分析する。第I節では,産業内分業を構成する主要な企業群の関係に注目してイノベーションをとらえる視点を導入する。第II節では,ネットブックの登場に先立つ時期のノート型PC 産業の産業内分業の構図を分析し,この市場で「性能の供給過剰」が起きていたことを明らかにする。第III節では,ネットブック市場の生成と発展の過程を分析し,このプロセスが「台湾企業による革新的な新製品の創出→コア部品ベンダーによる防御的な対応行動→これを受けた他のブランド企業(特に台湾企業・エイサー)の参入と積極的な生産拡大」という経緯をたどったこと,この新市場の創出の過程が,産業内分業を構成する企業群の相互誘発的な行動の連鎖として捉えられることを明らかにする。