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em Academic Research Repository at Institute of Developing Economies


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本稿では,大統領制のもとでの執政府と立法府の権限配分が政策帰結に与える影響を考える。特に 予算策定過程における大統領の部分的拒否権の役割に注目し,部分的拒否権が大統領に有利な政策帰 結を生み出すものの,全体拒否権が行使されたときの回帰点の位置次第で,あるいは,議会がどの程 度大統領に制裁を行使できるか次第で,部分的拒否権の効果が失われ,回帰点から離脱できない状況 が生まれることを示す。これを検証するため,フィリピンにおける予算策定過程(1994~2008年) を事例としてとりあげる。フィリピンでは,一般歳出法制定に関して大統領に部分的拒否権が与えら れているため大統領優位に予算策定が行われてきた。しかし,財政赤字拡大が進行した時期には,議 会が一般歳出法を制定せず,前年度予算の再執行を行っており,これは回帰点から離脱できない状況 と考えられる。